育休は「休み」ではなく、人生でいちばん体にいい生活だった——データで気づいたFIREの本当のコスト
以前、復職後に健康指標が落ちた話を書いた。VO2Maxも安静時心拍も、Apple Watchのデータが正直に「落ちている」と告げていた、という記録だ(データの作り方はこちらの技術記事にまとめてある)。
あの記事を書いてしばらく経って、同じデータをもう一度眺めていて、見え方がひっくり返った。あれは「復職後に落ちた話」というより、育休中こそが人生でいちばん体が整っていた時期だった、という話だったのだ。今日はその視点から、もう少し踏み込んで書く。
「悪化の起点」ではなく「ベストの基準点」だった
前の記事では、育休明けを起点に「そこから落ちた」と捉えていた。でも数字の高さそのものを見ると、育休中の値は単に「復職前」なのではなく、この数年で最良の水準だった。
- VO2Maxは育休中ずっと34前後をキープ。復職後の2026年は30〜31まで落ちた
- 安静時心拍は2025年5月に68.8 bpmまで下がっていた。復職後は77〜83 bpm
つまり育休は、後から下がるための「高い踏み台」だったのではなく、それ自体が体にとって理想的な生活様式だった。理由は今ならはっきり言える。
- 子どもに合わせるので起床・就寝が強制的に整う
- 一日中こまめに動く(抱っこ、散歩、家事)
- 通勤というストレス源がない(復職後は往復1時間40分)
- 締め切りや会議の緊張がない
特別なトレーニングをしていたわけではない。生活が整っていただけで指標がベストになった。これが今回いちばん腑に落ちたことだ。
体脂肪率にも同じことが起きていた
前の記事では触れなかったが、体脂肪率も育休中にきれいに絞れていた。
| 時期 | 体脂肪率 |
|---|---|
| 2025-01(育休前) | 21.4% |
| 2025-06(育休中) | 18.2% |
| 2025-09(育休終盤) | 17.5% |
ジムにも行かず、食事制限もしていない。生活リズムが整い、子どもと動き回り、だらだら間食が減った——それだけで4ポイント近く落ちている。心肺も体組成も、同じ「整った生活」という一本の原因に効かされていた。
これはFIREのコストの話でもある
ここからが、このブログでこの話を書きたかった理由だ。
復職後に悪化したぶんは、言い換えれば 「働くことの健康コスト」 だ。給料と引き換えに、安静時心拍を15bpm、VO2Maxを数ポイント差し出している。普段はまったく意識しないこのコストが、数字にすると急に生々しい。
FIREを「いつか働かなくてよくなる状態」と捉えると、これはお金だけの話ではなくなる。自分は資産形成のために、健康というかたちでも毎月”労働コスト”を払い続けている。このブログの目標に置いた1.5億円という数字の向こう側にあるのは、たぶんこの心拍とVO2Maxを取り戻せる生活だ。
育休のデータは、そのゴール地点を半年だけ先取りで体験させてくれていたのだと思う。「経済的自立の先に何が待っているか」を、抽象論ではなく自分の生体データで見られたのは大きかった。
救いのある後日談
最後に、前の記事のあとで起きた良い変化を。
2026年6月、安静時心拍が 67.0 bpm と、育休中のベスト(68.8)すら更新した。歩数も月平均1.1万歩まで戻っている。
これは6月から始めた就寝前の瞑想と、週ごとにトレーニング計画を立てる仕組みを回し始めた効果だと思っている。前の記事で「通勤や昼休みを運動時間に置き換える」と書いた方針が、少しずつ形になってきた。
育休が証明したのは「整った生活の威力」であって、復職したら終わり、という話ではなかった。働きながらでも、意識して手を打てば指標は戻せる。データはそこまで教えてくれた。
記録メモ: 同じデータでも「いつを基準点に置くか」で結論が変わる。復職を起点にすれば下降の物語、育休を頂点に置けば”理想の生活様式”の発見になる。数字は中立だが、そこから何を読むかは自分次第だと、改めて思った。