連載「家庭OS」 第9回 / 全13回

地域の親子イベントを、自動で拾って定期的に届ける


前回の週末ガチャは「1案だけ言い切る」道具だった。今回はその手前、そもそもの選択肢を増やすための道具。地域の親子向けイベントを自動で集めて、定期的に届けてくれるキュレーターだ。


地域のイベント情報は「探しに行かないと出てこない」

子連れで行ける地域のイベント——子育てひろば、季節のお祭り、施設の体験会——は、実はそこそこ開かれている。問題は、自分から探しに行かないと存在に気づけないことだ。

地域の情報サイトを毎週チェックする、なんて余裕は育児中にはない。気づいたときには「あ、先週末やってたのか」と終わっている。情報がないのではなく、情報を取りに行く一手間が、いつも後回しになる。

だったら、取りに行くのをやめて向こうから届くようにすればいい。これが発想の出発点だった。

やっていること

仕組みはシンプルだ。静岡の地域情報から子育て向けのイベントを拾い、家族用のSlackチャンネルに流す。これを週に何度か、決まったタイミングで自動実行している。だから自分は何もしなくても、定期的に「今度こんなのがあるよ」というリストが流れてくる。

ポイントは、頻度を決めて定期的に届けること。気が向いたときに手で検索する方式だと、結局やらない週が出てくる。曜日と時刻を固定して機械に回させると、抜けがない。週末の予定を考えるタイミングの少し前に届くようにしておけば、ちょうど候補として使える。

「ガチャ」との役割分担

週末ガチャが1案に絞って言い切る道具なら、こちらは選択肢の母集団を増やす道具だ。役割が逆で、補い合っている。

  • キュレーター:地域で何があるかを、広く拾って届ける(選択肢を増やす)
  • 週末ガチャ:その中から、天気や子どもの年齢に合う1案を言い切る(選択肢を絞る)

選択肢が増えすぎると決められなくなる、というのは前回書いたとおり。だから「広げる係」と「絞る係」を別々の道具に分けた。情報は多く集めたいが、最後の意思決定は軽くしたい。この2つを1つの道具に詰め込むと、どっちつかずになる。小さい道具を複数持つ、という家庭OSの方針が、ここでも効いている。

使っている技術

これも週末ガチャと同じく、タスクスケジューラで定時に回るPython。地域の情報サイトから子育て向けイベントを取得し、整形してSlackのwebhookに流すだけ。曜日と時刻(週に複数回)を固定して機械に回させる、という運用設計そのものが本体で、技術的に派手なところはない。

あえて言えば、ここでも家庭OSの方針どおり「自分の意志力に頼らない」ことを技術で担保している。検索を頑張る気力は続かないが、タスクスケジューラは気力に関係なく毎週動く。続くかどうかは、たいてい根性ではなく仕組みで決まる。

記録メモ: 「情報収集を頑張る」のではなく「情報が勝手に集まる導線を1本引く」。育児中にいちばん枯渇するのは時間と気力なので、自分の意志力に頼る設計はだいたい続かない。意志力ゼロでも回る仕組みにしておくのが、結局いちばん長持ちする。

これで子育てのレイヤーはひと区切り。次回は健康のレイヤーに戻って、Apple Watchの数値と空き時間から「来週のトレーニング」を組んでくれる道具の話を書く。